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時代が梶原先生を求めている! 「兄貴」 梶原一騎の夢の残骸 真樹日佐夫著 を読む [真樹日佐夫]

今年の初めからいわゆる「タイガーマスク現象」が日本列島を席巻しましたね。タイガーマスクの主人公である伊達直人を名乗る人たちが児童養護施設などに寄付をして、民主党政権の暗い世の中に明るい話題を提供してくれました。そして、TV CMには、星飛雄馬、花形満、オズマ、左門豊作(笑)が登場していますし、極めつけは、山下智久主演で「あしたのジョー」が映画化された事です。

まさに時代が昭和の劇画王である梶原一騎を求めているように見えます。期待をことごとく裏切ってくれる民主党政権に嫌気がさした人たちが、「何だかんだ言っても昭和のあの時代はよかったな~」と思っているようにも見えます。
そうだ! みんな梶原一騎のマンガを読んで、ハングリーな上昇志向を取り戻してもう一度、中国を蹴散らすんだ!(笑)

この梶原一騎マンガブームのおかげで、あまりTVを見ない私でも「サンデージャポン」、「アッコにおまかせ」の2つの番組で真樹先生の70歳とは思えない若々しいお姿を拝見することができました。

兄貴―梶原一騎の夢の残骸 (ちくま文庫)

前置きが長くなってしまいましたが、今回紹介するのは真樹先生の
<兄貴」梶原一騎の夢の残骸>です。梶原先生を一番近くからみてきた真樹先生ならではの視点で、先生の一生を浮き彫りにしています。




昭和41年5月、少年マガジンに「巨人の星」の連載が始まり、梶原時代の幕が開きました。これまで文芸雑誌などから一段低く見られていた漫画にヒューマニズムを盛り込むという意欲をこめて、主人公に飛雄馬(ヒューマン)という名前を付けた話は有名ですよね 。この「巨人の星」はテレビアニメ化されてそのブームはさらに加熱しました。
そして人気を裏付ける象徴的事実として<少年マガジン>誌は発行部数を百万の大台に乗せ、さらには百五十万部へと記録を伸ばすことになるのだが、一方、梶原のところへは、ブームがエスカレートするのと競うかのように他誌からも同一路線上の作品の依頼が殺到した。
柔道一直線」(<少年キング>連載 画・永島慎二)、「タイガーマスク」(<月刊ぼくら>連載 画・辻なおき)、ときて、そこでまた<少年マガジン>にて「あしたのジョー」(画・ちばてつや)の大ヒットが生まれるわけだが、私見をいえば、のちの「空手バカ一代」(<少年マガジン>連載 画・つのだじろう 影丸譲也)、「柔道賛歌」(<少年サンデー> 連載 画・貝塚ひろし)、「愛と誠」(<少年マガジン> 連載 画・ながやす巧)なども含む梶原の全作品を通じても、この「あしたのジョー」が傑出しているように思える。
「巨人の星」星飛雄馬の模範少年の鑑的キャラクターぶりと違って、主人公矢吹丈が正反対のアウトローとして設定されている点、肩が凝らずにすっと入っていけたし、またなにより、ジョーのさすらい時代を淡々と描いていささかもだれさせないところなど、ちばの才筆に援けられている面が多い。

<少年ジャンプ>が最高で500万部を売ったことを考えると、150万部なんて大したことない思うかも知れませんが、当時としては大変な数字です。梶原先生が登場する以前はマンガは子供が読むもので大人が読むものではありませんでした。それが、この時代の梶原先生の登場とリンクして大人までもが競ってマンガを読むようになったのです。当時は全共闘運動が盛んな頃で、「右手にジャーナル、左手にマガジン」と言われていました。これは右手に「朝日ジャーナル」、左手に「少年マガジン」という意味で、マンガ雑誌が全共闘世代の大学生の愛読書であったという意味です。
どう考えても「朝日ジャーナル」は左だろう、と思うのは私だけでしょうか?(^^)

極めつけは、1970年3月におきた赤軍派による日本最初のハイジャック事件です。これは日本航空のボーイング727「よど号」を9名の赤軍派メンバーが乗っ取って北朝鮮に亡命したという事件で、この時に犯人グループは、「最後に確認しよう。われわれは明日のジョーである」と言ったことは有名な話です。

さて、マンガの原作で絶頂期を迎えた梶原先生ですが、映画の世界に進出して「地上最強のカラテ」などを大ヒットさせたり、アントニオ猪木全盛の新日本プロレスと組んでリング上に「タイガーマスク」(初代佐山サトル)を登場させるなどで多忙となり、マンガの原作の方にしわ寄せが出ていたようです。
「いいかい、怒らないで聞いてもらいたいんだ」
と話を切り出した。
「改まって、なんだよ」
「最近、兄貴の書くものは、はっきり言って面白くない」
「おい、そんなことをぬかすためにわざわざきたのか」
梶原は露骨に不興げに眉を寄せた。金縁眼鏡の奥の細い目が拒絶的な光を宿し、瞬きしなかった。(中略)
「人気の点がどうの、とういうんじゃないんだ。そんなものは糞くらえだが、魂の躍動が伝わってこないのは淋しい限りでね。いまさらカザリン時代を思い出せ、とは言わんが、ここらでもう一度褌を締め直す必要があるんじゃなかろうか」
「おまえなあ、誰を相手に物を言っているつもりなんだ」
「劇画の神様カジワライッキに対してさ。「あしたのジョー」は百年生きたって俺には書けない、だからこそあえて苦言を呈したくもなろうってもんでね」
天下の梶原先生に対して、このような意見を言えるのは真樹先生だけだったでしょうね。

この後、梶原先生は暴力事件で逮捕されて62日間留置所で過ごすことになります。これは、警察が梶原先生に対して「覚せい剤疑惑」を持って別件逮捕を行い拘留を大幅に延長させたようです。(結局、覚せい剤の疑惑が晴れて釈放されます)
この時、警察は梶原先生と一緒に真樹先生も逮捕しようと考えていたようです。ところが、真樹先生の悪い話をほじくり出そうとしていくら聞きまわっても、真樹先生に関しては良い話しか出てこないためあきらめたようです。(^^)

出版業界は、梶原先生が逮捕されると世間体を考え、競って先生の単行本を絶版にしたそうです。しかし、先生が亡くなられた途端に復刊につぐ復刊してそれがバカ売れしたとのこと。ちなみに今回の「タイガーマスク現象」で、「タイガーマスク」のマンガに大量の注文が入ったそうです。

やはり梶原マンガの名作は今後も読み継がれていくことでしょう!

(追記)
山Pの映画「あしたのジョー」みてきました。いや~! 良かったです。山Pも頑張ってましたし、伊勢谷友介の力石はマンガのイメージそのものでした。そして香川さんの丹下段平も違和感なく見ることができました。
ただ、残念なのが香里奈が...。白木葉子のイメージじゃないんだよね。
あとは、例のアニメの主題歌が使われなかったことかな? 不満はそれくらいでしたね。良かったですよ。
みなさんもぜひご覧になって下さい!

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それ以外の真樹先生の本です。
・時代が梶原先生を求めている! 「兄貴」 梶原一騎の夢の残骸
・真樹先生のすてごろ人生! すてごろ懺悔
・マッキーの最新作! 「哀しき空手王」
・真樹先生の大山館長への思いを書いた「大山倍達との日々」 
【お勧め】
・真樹日佐夫の百花繚乱交遊録
・ケンカ十段! 芦原英幸正伝 小島一志著 を読む その1

大山倍達については、以下もご覧ください。
・ケンカ十段! 芦原英幸正伝 小島一志著 を読む その1
・極真会館はなぜ分裂したのか? 大山倍達の遺言 小島一志、塚本佳子著 を読む
・笹川良一氏と大山館長の生き方について 悪名の棺 笹川良一伝
・日本の空手界を変えた名著! 「空手バカ一代」を読みなおす 
・ケンカ道 その”究極の秘技”を探る 篠原勝之著
・空手超バカ一代  石井和義著

このブログの目次です。
http://simple-art-book.blog.so-net.ne.jp/2010-04-17-1

あしたのジョー 全12巻セット (講談社漫画文庫)巨人の星(1) (講談社漫画文庫)タイガーマスク(1) (講談社漫画文庫)空手バカ一代(1) (講談社漫画文庫)愛と誠(1) (講談社漫画文庫)斬殺者 (上) (Magical comics (3))



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TBM

>「タイガーマスク」のマンガに大量の注文が入ったそうです。
このニュース、見ました。
確かに、今一度、数々の名作を読みたくなりましたね。
by TBM (2011-02-15 23:52) 

Simple

TBM さん

Nice!& コメントありがとうございます。
私も梶原マンガを読みたくなりました。
でも、その前に山Pの「あしたのジョー」を見に行こうかと思ってます。

by Simple (2011-02-16 22:14) 

Simple

ぼんぼちぼちぼち さん

Nice! どうもありがとうございます。
防犯カメラの短歌、素敵ですね!
by Simple (2011-02-25 20:35) 

Simple

mo_co さん

Nice! どうもありがとうございます。
お手伝いのお駄賃、いいですね。

by Simple (2011-02-25 20:37) 

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