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ケンカ十段! 芦原英幸正伝 小島一志著 を読む その1 [格闘技]


芦原英幸正伝
梶原一騎先生の「空手バカ一代」の後半の主人公として活躍した「ケンカ十段」芦原英幸氏に関する本です。

著者の小島氏は、早稲田大学の同好会で極真空手を学び、卒業後に福昌堂に入社し「月刊空手道」の編集記者となります。そして、極真会を除名されてマスコミから遠ざかっていた芦原氏や極真会館の大山倍達館長と深く交友し、特に大山館長とは最晩年まで交遊が続きました。著書に「大山倍達正伝」、「大山倍達の遺言」などがあります。

小島氏は、芦原英幸氏に関しては、2008年に「芦原英幸伝 わが父 その魂」を出しましたが、共著者である芦原氏の息子である英典氏と意見の相違が生じ、それに関してアンチ小島派から猛烈なバッシングを受けました。そのため、この本のAmazonの書評を見てもアンチ小島派の意見が多く出されています。

私は、昔から小島氏の本は好きだったので、アンチ派のバッシングを醒めた目で見ており、早く次の本が出ないかと心待ちにしていましたので、この本を本屋で見つけた時はすぐにレジに走って読み始めました。いろいろと批判はあるのでしょうが、小島氏の本には大山館長や芦原氏に関して、小島氏にしか書けない内容が詰め込まれており、私としては多くの人に読んで欲しいと思っています。

さて、「空手バカ一代」を読んでも分かるように、四国に行っていた当初、芦原氏は大山館長にとってかわいい愛弟子でした。同じく、大山館長の愛弟子であった真樹日佐夫先生の本から引用します。
「近いうち、面白い男に会わせられると思うよ」
と彼が言い出した。
「ほう、誰です」
「芦原といってね、愛媛支部長として派遣して二年になるか」
それが私が芦原英幸の名前を聞いた最初である。
「四国といえば、かの少林寺拳法の本場じゃないですか。支部活動も、さぞやりにくいことだろうな」
興味をおぼえて身を乗り出す私に、大山は微笑し、
「それが、どこ吹く風といった按配らしいんだ。細心な反面、底抜けに豪胆な男でねえ。なかなかの男前でもあるし、真樹さんとは気が合うと思うが」
と、いかにも愉しげな風情であった。(「極真カラテ二十七人の侍」より)

そのように良好な関係であった大山館長と芦原氏ですが、「空手バカ一代」の後半の主人公になったことで、その関係のもヒビが入ってしまいます。大山館長にしてみると、自分の半生記として始まった「空手バカ一代」の主人公がいつの間にか芦原氏になってしまった、しかも大人気、という何ともやり切れない気持ちになっていたようです。また、芦原氏と同じように、このマンガに登場した添野義二氏や山崎照朝氏らと出してもらえなかった極真関係者達の間で、嫉妬ややっかみによる感情的な縺れも生じたようです。
やはり、あの芦原への除名処分は行き着くところ、大山の嫉妬が全てだったと。同時に大山の嫉妬を誘発させた芦原の破天荒な言動の数々が、縦社会の枠をはみ出していたという事実も認めなければならないだろう。
具体的には、若い頃から芦原氏と親交のあった小倉正一郎氏のコメントを見ると分かります。
あの当時館長相手にため口をきいたのは芦原先輩しかいませんでしたよ。大山館長の悪口も、というより不満ですが、日常茶飯事で・・・。しかもわざと館長に聞こえるように言う。それが先輩なんです。

その結果、芦原氏は1980年9月8日に大山館長から永久除名処分を受けます。それに先立つ3月9日に京王プラザホテル42階で開催された緊急全国支部長会議の席上、芦原氏除名の緊急動議が出されます。(このために開かれた緊急全国支部長会議でした)

この時、芦原氏は大山館長に歩みより、
館長、ワシがこの窓割ると言っちょるんです。こんな腰抜け支部長は置いといて、館長が芦原を外に放り出してくださいよ。アンタ「牛殺しの大山」と言われちょるんでしょ。何頭もの牛を殺したんでしょ。熊も退治したって聞いてますけん、ワシみたいなヒヨッ子潰すなんて簡単やないですか。破門だ除名だ手回しのいいことせんでも、今ここで決着をつけてください。
と挑発したそうです。
そのような経緯で除名になった芦原氏ですので、大山館長は芦原氏については、
芦原は弱い奴しか相手にしなかったから、強豪が集結する全日本から逃げた

というようなことを公言していたそうです。しかし、実際には違ったようです。
芦原氏自身は出場する気でいたのですが、「25歳以上は審判」ということで、出場できなかったそうです。(大山館長が芦原氏を出したくなかったようです)

また、オランダ支部から巨漢の強豪カレン・バッチ(190cm、100Kg)が来た時、本部の指導員メンバーは総なめにされ、唯一対等に戦ったのが、藤平(リングネーム:大沢昇)氏だけだったと言います。当時指導員だった盧山初男氏もボロボロにされて、その後、一時極真会館を離れることになります。そのカレン・バッチに対して大山館長は、四国から芦原氏を呼んで戦わせて、空手の本家の威信を保ったのですが、
カレン・バッチに勝ったのは藤平だけ。芦原なんて逃げ回っていたよ
とコメントしていたそうです。

最後に、歴代の日本チャンピオンとの組手について、佐藤俊和氏(第8回大会優勝)のコメントを紹介します。
私の時もそうでしたし、盧(山)先輩(第5回大会優勝)も三浦先輩(第4回大会優勝)も芦原師範には散々な目に遭わされました。でも芦原師範には憎しみとか怒りとか、そういった感情がないんです。可愛い後輩に稽古をつける程度の気持ちしかない。だからやられたほうもあまり根に持たないんですね。(()内の補足は引用者が付加しました)

芦原英幸ファン、極真フリークには必読の書だと思います。

大山倍達については、以下もご覧ください。
・大山倍達と民族運動 「大山倍達正伝」 小島一志、塚本佳子著 を読む その1
・大山倍達と力道山の伝説 「大山倍達正伝」 小島一志、塚本佳子著 を読む その2
・ケンカ十段! 芦原英幸正伝 小島一志著 を読む その2
・大山倍達の実像は? 木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか 増田俊也著 を読む
・極真会館はなぜ分裂したのか? 大山倍達の遺言 小島一志、塚本佳子著 を読む
・笹川良一氏と大山館長の生き方について 悪名の棺 笹川良一伝
・日本の空手界を変えた名著! 「空手バカ一代」を読みなおす 
・ケンカ道 その”究極の秘技”を探る 篠原勝之著
・空手超バカ一代  石井和義著

このブログの目次です。
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コメント 4

カラテカ

http://www.shinkyokushinkai.co.jp/oshirase1401116/

http://www.ashihara-karate.com/shinkan.htm

http://blogs.yahoo.co.jp/ms06hiro1604/47325996.html

いろんな所から取材拒否されているようですが、どうやってこの本を書いたのでしょうか?

by カラテカ (2014-02-01 11:04) 

Simple

カラテカ さん

コメントありがとうございます。
小島氏に対して組織としては拒否するしかないのでしょうね。
個人的なコネを使って情報を収集したのではないでしょうか?
by Simple (2014-02-01 14:23) 

お名前(必須)

小島一志が業界でどういう人間として知られてるか知ってる?

なんで出版依頼が無いのかも知ってる?

吉田豪を脅迫したり、自分で捏造告白したり、本出す度にアンチではなく関係者に猛烈にバッシングされてる理由がわかる?

by お名前(必須) (2015-03-16 16:14) 

Simple

お名前さん

業界での噂は勿論知っていますよ。
でも、小島さんしか書けない情報があるのも事実です。
作者と作品は別物というのは良く言われる話で、絶頂期の梶原先生だってかなり評判が悪かったですし、昭和の私小説を書いていた作家なんかもそうですよね。
ですので、いろいろな情報を集めて取捨選択するのが良いと考えています。
by Simple (2015-03-19 20:47) 

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