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アメリカ陰謀論か? 「戦後史の正体」 孫崎享著 を読む [社会]


戦後史の正体 (「戦後再発見」双書)今回紹介する本は、まったくトンデモない本です。
ひと言で言うと、戦後急激な成長を遂げた経済大国である日本の首相が、米国の思うがままにコントロールされていた、そして今もそれが続いている、というすごい内容です。もしこれが本当であれば、未だに日本は独立国と言えないということになります。

え? いつもと言っていることが違いますか? そうなんです、外務省の元国際情報局長というまっとうな人に、このような内容の本を書かれてしまうと、私たち「陰謀論者」の立場が無くなるんですよね。このような本がベストセラーになってしまうと、「みんな知らないけど、俺たちは知っているんだぜ!」と言えなくなるじゃないですか!(笑)

著者の孫崎享氏は、1966年に外務省に入省し、英国陸軍学校に派遣されロシア語を学び、その後ソ連に5年、イランとイラクにそれぞれ3年ずつ勤務し、その後、東京で国際情報局長を務め、2002年から防衛大学校の教授となった方です。
孫崎氏は、真珠湾攻撃は米国が参戦するように日本に仕掛けられたもの(イギリスが待ち望んでいたこと)であると述べています。英国のチャーチル首相の回顧録で以下のように書いています。
真珠湾攻撃によって、われわれは戦争に勝ったのだ。[これによって米国が参戦し]イングランドは生きるだろう。ヒットラーの運命は決まった。日本人にいたっては微塵に砕かれるであろう。(中略) 満身これ感激と興奮という状況で私は床につき、救われて感謝に満ちたものだった

そして、孫崎氏は、戦争が終わったのは私たちが終戦と考えている8月15日ではなく、米国戦艦ミズーリ号で降伏文書に外務大人重光葵が調印した9月2日だと言います。そして、その降伏文書の中身ですが、
・日本のすべての官庁および軍は降伏を実施するために、連合国最高司令官の出す布告、命令、指示を守る
・日本はボツダム宣言実施のため、連合国最高司令官に要求されたすべての命令を出し、行動をとることを約束する

これが、戦後日本の始まりであり、70年近く経った今でも日米の関係に大きな影響を与えているというのです。

降伏文書を調印した直後、日本はGHQから驚くべき命令を受けます。
・日本を米軍の軍事管理のもとにおき、公用語を英語とする
・米軍に対する違反は軍事裁判で処分する
・通貨を米国の軍票とする

無条件降伏したとはいえ、こんなことを認めたら日本は独立国家とは言えなくなります。「公用語を英語にする」なんて、現在英語の習得に苦労している人たちは喜ぶかも知れませんが、そうなると日本の文化の継承は途絶えていたことでしょう。この命令を聞いた重光葵が急きょマッカーサー(天皇、首相、両院議長以外には会わないと宣言していた)に直談判して取り辞めさせたそうです。この事だけ見ても重光さんは本当に「国士」だと思います。

その後、吉田茂をはじめとした多くの首相たちは、現在まで米国の意向に左右されているというのが孫崎氏の主張です。みなさんも小泉首相以降は、米国のいいなりになってばかりではないかと感じていると思います。孫崎氏は戦後の首相たちを「自主」と「対米追随」という観点から分類しています。
(1)自主派(積極的に現状を変えようと米国に働きかけた人たち)
●重光葵(降伏直後の軍事植民地化政策を阻止。のちに米軍完全撤退案を米国に示す)
●石橋湛山(敗戦直後、膨大な米軍駐留費の削減を求める)
●芦田均(外相時代、米国に対し米軍の「有事駐留」案を示す)
●岸信介(従属色の強い旧安保条約を改定。さらに米軍基地の治外法権を認めた行政協定の見直しも行なおうと試みる)
●鳩山一郎(対米自主路線をとなえ、米国が敵視するソ連との国交回復を実現)
●佐藤栄作(ベトナム戦争で沖縄の米軍基地の価値が高まるなか、沖縄返還を実現)
●田中角栄(米国の強い反対を押しきって、日中国交回復を実現)
●福田赳夫(ASEAN外交を推進するなど、米国一辺倒でない外交を展開)
●宮沢喜一(基本的に対米協調。しかしクリントン大統領に対しては対等以上の態度で交渉)
●細川護煕(「樋口レポート」の作成を指示。「日米同盟」よりも「多角的安全保障」を重視)
●鳩山由紀夫(「普天間基地の県外、国外への移設」と「東アジア共同体」を提唱)

(2)対米追従派(米国に従い、その信頼を得ることで国益を最大化しようとした人たち)
●吉田茂(安全保障と経済の両面で、きわめて強い対米従属路線をとる)
●池田勇人(安保闘争以降、安全保障問題を封印し、経済に特化)
●三木武夫(米国が嫌った田中角栄を裁判で有罪にするため、特別な行動をとる)
●中曽根康弘(安全保障面では「日本は不沈空母になる」発言、経済面ではプラザ合意で円高基調の土台をつくる)
●小泉純一郎(安全保障では自衛隊の海外派遣、経済では郵政民営化など制度の米国化推進)

(3)一部抵抗派(特定の問題について米国からの圧力に抵抗した人たち)
●鈴木善幸(米国からの防衛費増額要請を拒否。米国との軍事協力は行わないと明言)
●竹下登(金融面では協力。その一方、安全保障面では米国が世界的規模で自衛隊が協力するよう要請してきたことに抵抗)
●橋本龍太郎(長野五輪中の米軍の武力行使自粛を要求。「米国債を大幅に売りたい」発言)
●福田康夫(アフガンへの陸上自衛隊の大規模派遣要求を拒否。破綻寸前の米金融会社への巨額融資に消極姿勢)

以上の面々を見ると、(2)の対米追従派は長期政権が多く、(1)の自主派は米国の関与による短期政権が多いことが分かります。これに関して孫崎氏は、以下のように書いています。
ここで指摘しておきたいのは、占領期以降、日本の社会のなかに「自主派」の首相を引きずりおろし、「対米追従派」にすげかえるためのシステムが埋め込まれているということです。

それは、以下の2つです。
①検察:特に特捜部は、前身がGHQ指揮下の「隠匿退蔵物資事件捜査部」(日本人が隠したお宝を探す)であり、現在でも米国の影響下にあり、しばしば政治家を起訴している。
②マスコミ:占領期から米国は大手マスコミの中に「米国と特別な関係を持つ人びと」を育成してきており、現在でも続いている。

小沢一郎氏の裁判の経緯を見ていると、検察の異常なほどのゴリ押しが見られます。小沢氏は、極端な親中国派ですので、米国としては絶対に首相にしたくないのでしょう。みなさんも裁判がなければ、小沢氏が民主党政権で確実に首相になっていたことは同意頂けると思います。このように、孫崎氏の指摘するように、無条件降伏後の戦後の日本の米国の介入が現在の日本に対しても強く影響を与えていることが分かります。

私はこの本を読んで、戦後の多くの首相が米国の圧力に対抗していたことを改めて認識しました。最近は自民党だけでなく、民主党まで米国追従の首相が続いているので、その人たちのことを忘れていました。

この本は、多くの人に読んで欲しい超お勧めの一冊です。
ただし、この本に関してはいろいろと批判があることも確かです。(例えば、雑誌Will
2012年12月号で、佐藤優氏や潮匡人氏が孫崎氏の本に関して批判を行っています。)いろいろな人の意見を読んで、その内容を自分で判断することが重要だと思います。
潮氏はこの本を「アメリカ陰謀論」と断定して書いていますが、「陰謀論者」である私は、日本を操っている米国の裏には、米国大統領を操っている人たちがいると思っているのですが...。(笑)

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